取材後記:下絵職人 猪原啓三さん


手描友禅の最初の工程となる「下絵」。下絵がなければ、柄も風合いも生まれません。細かな線が描かれ、次の工程に進んでいきます。そんな手描友禅の下絵職人さんの元に取材に行ってきました。

11月発行のフリーペーパー「想いのしおり」No15。下絵職人の猪原啓三さんのインタビュー記事となっている。

実は取材を行ったのは、7月の初め。そこから発行まで、大分時間がかかってしまった。

今回は、猪原さんに取材をさせてもらった時の様子を取材後記としてお伝えできたらと思う。

<PROFILE>

猪原 啓三(いのはら けいぞう)

手描き友禅下絵業。
1946年岡山に生まれる。日吉ヶ丘高校美術コース、日本画科卒業。
杉浦桃山門下生として下絵の修行に入り6年後独立し、現在に至る。

猪原さんの作業場は、自宅の一室。これまで数多くの職人さんの工房にお邪魔してきたが、その中でも小さいな、と感じるほどだった。とお聞きすると「柄を描くだけだから」と。確かに描くだけなら、小さい作業場で十分なのかもしれない。

その小さい作業場にはこれまで柄を描かれた生地や紙、参考にしているという本がぎっしりと詰め込まれていた。これでも、処分し整理した方らしい。どれだけの図案がここには、あったのだろうか。

そして、奥には大きな机。その机の上に生地をひろげ、筆に青花を染み込ませ、柄を描いていくそうだ。今回のNo15の特集でも取り上げたが、今では化学青花を使い描いていくようになった。

そして、奥には大きな机。その机の上に生地をひろげ、筆に青花を染み込ませ、柄を描いていくそうだ。今回のNo15の特集でも取り上げたが、今では化学青花を使い描いていくようになった。

下絵を描く時は、「青花」という染料で生地や紙に描いていく。その青花には「青花紙(本青花)」と「化学青花」があり、現在では主に化学青花が使われるようになった。青花紙(本青花)は、欠品につながるリスクが大きいため、今では使われない。

他の下絵を描いておられる職人さんでも、「青花紙は見たことがない」と言われるほど。

それでも、青花紙を生産している所は滋賀県草津に1軒だが存在している。No15では実際に生産者の方にお会いし、お話をうかがってきた。

それでも、青花紙を生産している所は滋賀県草津に1軒だが存在している。No15では実際に生産者の方にお会いし、お話をうかがってきた。今では、青花紙だけでなく、美容関連やお茶として売り出そうという試みもされているようだ。
(詳しい内容はフリーペーパーにて)

猪原さんの所では、滅多に使わないがたまに青花紙を使い描く時がある。青花紙で描く方が、筆の運びが滑らかになり、風合いが出るのだとか。
「どうしても化学青花を使おうとしてしまうけど、本青花の方がいいねんけどなぁ」と。

取材中も、筆を握る手はいっこうに休むことがなかった。それほど、柄を描くという事に情熱を注ぎ、試行錯誤を繰り返しておられる方にお会いするのは、初めてだった。そうして、多くの人を魅了する柄を描きだされてきたのと思う。

最近は、インクジェットによる友禅加工も行われており、手描友禅の売れ行きは思わしくない。職人として業界に関わる人も減ってきたという。

そんな現状ではあるが、猪原さんは手描にしかできない表現があると信じ、手描きにこだわり描いておられる方だった。何百種類とある柄の中から、最適なものを選び組み合わせ描いていく。もちろん、新作の柄を考え試しに描いてみることもあるのだとか。

取材中も、筆を握る手はいっこうに休むことがなかった。それほど、柄を描くという事に情熱を注ぎ、試行錯誤を繰り返しておられる方にお会いするのは、初めてだった。そうして、多くの人を魅了する柄を描きだされてきたのと思う。

その情熱や技術が消えることなく、次の世代に受け継いでいってもらいたい。

「フリーペーパー「想いのしおり」No15 下絵職人 猪原啓三」は現在配布中
「フリーペーパー「想いのしおり」No15 下絵職人 猪原啓三」は現在配布中


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