11月に入ったばかりの3連休初日。運の良いことにこの日は、秋晴れの晴天だった。
そして編集長/西野が向かったのは、打ち刃物で有名な大阪堺市。
まずは、京都から大阪に向かう。いつもは、電車で大阪に行くのだが今回は車。迷路のような高速道路と、高い壁に戸惑いを感じながら。午前中には、堺市に到着。
堺市は打刃物で有名な場所だ。この日は、秋の特別公開となっており普段は非公開の場所が一般に公開されることになっていた。まずは、車を停めて「水野鍛錬所」に向かう。
<水野鍛錬所 とは>
明治5年創業。打刃物の鍛錬の技術を現代に受け継ぐ鍛錬所。主に和包丁やテッサ包丁などの包丁の製造販売を行っている。
(水野鍛錬所 公式HPから一部引用)
水野鍛錬所では、日本刀の古式鍛錬の様子を一般公開していた。刀鍛冶職人が玉鋼を鍛えていく迫力満点の現場を見れるということもあって、店の前には多くの人が並んでいた。
子連れの親子もいたが、刃物が好きそうなリピーターのおじいちゃんたちも。列に並んでいる間は、現地の観光協会ボランティアさんが簡単な説明をしてくれて。
いよいよ中へ。どんどん奥へと進むと薄暗い工房の中には、刀鍛冶職人さんが。
これから日本刀の古式鍛錬の様子を見せてくれるのだという。
大勢の観覧者が周りを埋め尽くし、「危ないので下がってください」と言われても身を乗り出していた。興味津々だ。
そして「トン、テン、カン」という音とともに鍛錬が始まる。火に入れた玉銅をタガネで叩き、少しずつ鍛えていく。
叩きながら伸ばし、半分に折り曲げ何層にもすることで硬いが折れない強固な刃物を作りだすのだそうだ。
刀鍛冶職人さんが大鎚を振り下ろす瞬間は圧巻だった。大鎚を持たせてもらったが、とても振り下ろすには重たいと感じるほどの重さだった。それを、いとも簡単に操るとは。。
叩くたびに薄暗い工房の中に火花が飛び散る。どれだけ火花が散っても動じず、ひたすら叩く刀鍛冶職人さんの手と真剣に見つめる目には、一切の狂いがなかった。そんな息を吞むような瞬間に、つい見とれてしまった。
訪れた人たちも「うわぁ」「すごっ」とその迫力に圧倒されている様子。
しばらく見させてもらった後は、店先にある包丁の販売場所に。和包丁をはじめとする種類の豊富な包丁が数多く並んでいた。
中でもフグをさばくためのテッサ包丁は、水野鍛錬所が発祥の地なのだそうだ。その場で包丁を購入し、帰っていく人達もいた。
迫力満点の余韻を感じつつ、次に訪れたのは「鉄砲鍛冶屋敷」日本に残る唯一の鉄砲屋敷で、普段は非公開の場所だ。
国のお抱え鉄砲鍛冶だったそうで、同業者が次々と廃業した後も仕事を続けることができたのだそうだ。江戸時代には、鉄砲が武芸となりここに全国から注文が殺到するまでだった。
そんな建物の中には道具や原料、造りかけの鉄砲などが数多く残っていた。ここでも、観光協会ボランティアの方々が案内をしてくれた。(建物中は撮影禁止)
少し中を見て、説明を聞いた後はお昼頃ということでご飯に。
車で移動して駅近くのオシャレなCafe「フロレスタキッチンコドモ」さんへ。柔らかなお肉のハンバーグは美味しかったなぁ。
お味噌汁やお野菜まで付いてて、健康な食事をいただくことができた。ごちそうさまでした。
さて、そこから。。奈良に移動!
この日は、「C’festa2017」というイベントが開催されており、どこを見ても人だらけ。あっ、鹿も。
<C’festa2017 とは>
奈良食材とシェフの交流を目的とし「奈良グルメ再発見」につながるグルメイベント。 緑豊かな公園内で、日替わりシェフのイベント限定料理や、青空ピッツァ、奈良食材を使用したパンやお菓子などが、秋空のもとオープンテーブルで楽しめる。
(C’festa2017 公式HPから一部引用)
テントの下でお肉やビザ、お酒などの美味しい食が出されていた。いくつかのお店で購入して食べている方も。
青空のもと、美味しい食がいただけるなんて、なんと気分のいいことやら。。
おいしそうだなぁー、と思いながらまずは展覧会という事で。奈良国立博物館で開催中だった「正倉院展」に足を運ぶ。
<正倉院展 とは>
年に1度だけ、正倉宝物が一般に公開される展覧会。本年の正倉院展には、北倉10件、中倉25件、南倉20件、聖語蔵3件の、合わせて58件の宝物が出陳される。(展覧会は撮影禁止)
(第69回正倉院展 公式HPから一部引用)
仏具類や帯やアクセサリーなどの小物が出品されていた。今年も初出陳されるものが10件あり、見ごたえのあるものだった。
天平時代に作られたものがいまだに残っているということ、その時代に高い技術があったこと、に時代を感じる。きっと、消えてしまった技術もあるのだろう。
そして、外に出るとまだ17時というのに薄暗い。日が暮れるのが早くなったぁ。
堺の刀鍛冶も奈良の正倉院宝物も工芸と分類できるもの。でも、一方は手にとることができ、一方はガラス張りの中。
やはり工芸というものの価値は、作られている所が見え、触ることができ、使うことで感じれるのだろうと思う。そして、暮らしの中で工芸というものを使える環境にしていきたい。
writer:西野愛菜
photographer:西野愛菜