マグカップの金継ぎを自分で!取っ手や口元の修理手順と安全に使う手入れのコツ

お気に入りのマグカップが割れたり欠けたりしてしまったとき、捨てるのは忍びないものです。日本の伝統技法「金継ぎ」なら、傷跡を美しく彩り、世界に一つだけの器として再生できます。マグカップ特有の取っ手の修理や口元の補修など、初心者でも安心して取り組める金継ぎのポイントを詳しく解説します。

目次

マグカップの金継ぎで失敗しないためのポイント

マグカップは日常的に使う頻度が高く、熱い飲み物を入れたり、取っ手を持ったりするため、他の器よりも耐久性が求められます。金継ぎを始める前に、まずは成功させるための基本的な知識と準備について確認しておきましょう。

必要な道具と材料

金継ぎに必要な道具は多岐にわたりますが、最近では初心者向けのキットも充実しています。主な材料は、接着や塗りのベースとなる「生漆(きうるし)」、接着剤を自作するための「小麦粉」、欠けを埋めるための「砥粉(とのこ)」や「木粉(きぷん)」です。そして仕上げに使う「金粉」や、それを蒔くための「蒔絵筆(まきえふで)」が必要になります。

道具類では、漆を練るためのガラス板やヘラ、表面を整えるための耐水ペーパー(ヤスリ)、筆を洗うための菜種油なども準備しましょう。また、漆は肌にかぶれる可能性があるため、ゴム手袋は必須です。これらを個別に揃えるのは大変なため、最初は必要なものがすべて入った金継ぎセットから入るのがスムーズです。

作業の難易度と時間目安

マグカップの金継ぎは、単純な欠けであれば比較的易しいですが、取っ手が取れた場合の修理は難易度が上がります。取っ手には飲み物の重さがかかるため、強固な接着と補強が必要です。初心者の方は、まず口元の小さな欠け(ほつれ)から練習し、慣れてから複雑な割れに挑戦することをおすすめします。

作業時間は、実際に手を動かす時間は数時間程度ですが、漆を乾燥させる「養生」の期間が非常に長くかかります。一段階の工程ごとに数日から一週間程度、湿度の高い場所で乾かす必要があるため、完成までには最短でも一ヶ月、丁寧に行うなら二ヶ月以上の期間を見ておきましょう。焦って次の工程に進むと、強度が不足して失敗の原因になります。

衛生面と取り扱い

食器として使うマグカップを金継ぎする場合、最も気になるのが衛生面です。伝統的な「本金継ぎ」では、天然の漆と純金粉を使用するため、完全に硬化した後は口に触れても安全で、抗菌作用も期待できます。しかし、化学接着剤や合成漆(新うるし)を使用する「簡易金継ぎ」の場合は、食品衛生法に適合しているかを確認する必要があります。

また、修理中の取り扱いにも注意が必要です。作業中の器に指紋や油分がついていると、漆がうまく密着しません。作業前には必ず煮沸消毒やアルコールでの拭き取りを行い、素手を極力触れないようにしましょう。さらに、漆が完全に乾くまでは有害な成分が残留している可能性があるため、指定の乾燥期間を必ず守り、使用開始前にはぬるま湯でよく洗うことが大切です。

費用の目安

金継ぎにかかる費用は、自分で行うか業者に依頼するかで大きく変わります。自分で始める場合、初心者用キットは5,000円から10,000円程度で購入可能です。一度キットを揃えれば、数個から十数個の器を直すことができるため、複数の器を直したい場合には非常に経済的です。

一方で、プロの修理業者に依頼する場合は、割れの長さや欠けの大きさによりますが、一つのマグカップにつき5,000円から数万円程度が相場となります。特に金粉の量や修理の難易度によって価格は変動します。愛着のある高価な作家物や、自分では直せそうにない複雑な破損の場合は、プロに依頼する価値が十分にあります。

業者か自分かの判断基準

自分で金継ぎをするか業者に頼むかの判断基準は、「器の価値」と「自分のこだわり」です。自分で直す醍醐味は、修復の過程そのものを楽しみ、より器への愛着を深められる点にあります。しかし、初心者には取っ手の再接着などの構造的な修理はハードルが高く、強度が不足して火傷などの事故に繋がるリスクも考慮しなければなりません。

もし、マグカップが数十万円するような美術品であったり、絶対に失敗したくない大切な記念品であったりする場合は、プロに任せるのが安心です。一方で、「自分で直してまた日常的に使いたい」「金継ぎの技術を学びたい」という気持ちが強いのであれば、ぜひ自分での修理に挑戦してみてください。

取っ手や口元で変わる金継ぎの進め方

マグカップ特有の破損箇所といえば、取っ手と口元です。これらの場所は負荷がかかったり口に触れたりするため、補修のやり方に工夫が必要です。それぞれの箇所の特徴に合わせた金継ぎの進め方を詳しく見ていきましょう。

取っ手の接着と麻布補強

マグカップの取っ手は、接着面が小さいうえに、飲み物を入れたときに大きな荷重がかかる非常に繊細な場所です。単に「麦漆(むぎうるし)」で接着するだけでは、使っている最中に再び取れてしまう危険があります。そこで行われるのが「布着せ(ぬのきせ)」という補強技法です。

接着した境目に、漆を染み込ませた細い麻布や絹布を巻き付け、その上からさらに漆を塗り重ねて固めます。これにより、繊維の力で強度が飛躍的に高まります。布の厚みで少し段差ができますが、これをデザインとして活かしたり、丁寧に研いで滑らかにしたりすることで、実用性に耐えうる頑丈な持ち手に生まれ変わります。

口元の欠けの補填

口元(飲み口)の欠けは、金継ぎの中でも最も頻繁に行われる修理です。欠けた部分が残っている場合は麦漆で接着しますが、破片がない場合は「刻苧(こくそ)」や「錆漆(さびうるし)」を盛り付けて、欠けた形を復元します。

口元は唇が直接触れる場所なので、仕上がりの滑らかさが非常に重要です。盛り付けた後に耐水ペーパーで丁寧に研ぎ、周囲の陶器のカーブと完全に一体化させるように調整します。また、口元は洗浄時にスポンジでこすれやすいため、仕上げの金粉が剥げにくいよう、下地の漆をしっかりと厚めに塗り重ねるのが長持ちさせるコツです。

割れの合わせと固定

マグカップ本体が真っ二つに割れてしまった場合、一番の難関は「ズレのない固定」です。割れた断面を麦漆で薄く塗り、破片同士をぴったり合わせますが、漆は乾くまでに時間がかかるため、その間に重力でズレてしまうことがあります。

これを防ぐために、マスキングテープや輪ゴムを使い、四方から圧力をかけるように固定します。ただし、強く締めすぎると破片が浮いてしまうため、加減が必要です。固定した後は、ズレがないか指先で触れて段差を確認しましょう。もしズレたまま固まってしまうと、その後の研ぎ工程で修正するのが非常に大変になり、見た目の美しさも損なわれてしまいます。

小さなひびの扱い

取っ手の付け根や本体に入った「ひび」は、放っておくといつの間にか割れが進行してしまいます。ひびの修理は、生漆をひびに染み込ませる「摺り込み(すりこみ)」という作業を行います。生漆をひびの上にのせ、ドライヤーで少し温めて粘度を下げることで、毛細管現象により奥深くまで漆が浸透します。

染み込ませた後は表面をきれいに拭き取り、湿度の高い場所で乾かします。これを数回繰り返すことで、内部からしっかりと固まり、水漏れや破損を防ぐことができます。表面にはうっすらと金の線が残るだけなので、控えめで上品な仕上がりになります。ひびが小さいうちに対処しておくことが、器を長く守るための秘訣です。

素材別の対応例

マグカップの素材によって漆の食いつきやすさが変わります。吸水性のない「磁器」の場合は、接合面が滑らかすぎて剥がれやすいため、あえてダイヤモンドヤスリなどで断面を少し荒らし、足付け(あしつけ)を行うことが有効です。

逆に、吸水性のある「陶器(土もの)」の場合は、断面が漆をどんどん吸い込んでしまいます。そのまま接着しようとすると接着剤の水分が奪われてうまく付かないため、事前に薄めた生漆を断面に塗り、乾燥させて目止め(めどめ)をしてから本接着に入ります。素材の特性を理解して下処理を変えることで、リメイク後の耐久性が格段に向上します。

金粉や漆の種類と選び方

金継ぎの仕上がりを左右するのは、材料の質です。特に口にするマグカップの修理では、見た目だけでなく安全性や扱いやすさにも配慮して材料を選ぶ必要があります。ここでは漆や粉の種類と、その適切な選び方を解説します。

金粉と金属粉の違い

仕上げに使う「粉」には、本物の金から作られた「金粉」と、真鍮などの合金から作られた「金属粉」があります。本金粉は非常に高価ですが、酸化しにくく、いつまでも美しい輝きを保ちます。また、食品衛生上の懸念がほとんどないため、口に触れるマグカップには本金粉の使用が最も推奨されます。

一方、真鍮粉などは「消し粉(けしふん)」として安価に販売されていますが、時間の経過とともに黒ずんだり、金属特有の臭いがお湯に移ったりすることがあります。練習用であれば良いですが、大切な日常使いのマグカップを直すなら、純度の高い「消し粉」や、より輝きの強い「丸粉(まるふん)」の本金粉を選ぶのが正解です。

天然漆と合成漆の違い

金継ぎには、伝統的な「天然漆(生漆)」と、化学樹脂をベースにした「合成漆(新うるしなど)」の二種類があります。天然漆は扱いが難しくかぶれるリスクもありますが、強固な膜を作り、熱や水分に非常に強いのが特徴です。何より、完全に乾けば食べ物を入れても安心な天然素材である点が最大のメリットです。

合成漆は常温で短時間で乾き、かぶれる心配もほとんどありませんが、熱いお湯を入れるマグカップに使うと、樹脂の成分が溶け出したり、剥がれやすかったりすることがあります。長期的に安心して使いたいのであれば、手間はかかりますが天然漆を使った「本金継ぎ」を選ぶのが、本格的なリメイクへの近道です。

刻苧と錆漆の用途

欠けを埋める際に使うパテのような材料には、「刻苧(こくそ)」と「錆漆(さびうるし)」の二段階があります。刻苧は、漆に木粉や小麦粉を混ぜたもので、粘土のように厚く盛ることができるため、大きな欠損部を形作るのに適しています。

錆漆は、漆に砥粉(きめの細かい土の粉)を混ぜたもので、より滑らかなペースト状です。刻苧で形を作った後の表面の細かな穴を埋めたり、接合面のわずかな段差を整えたりする「肌調整」のために使われます。マグカップの滑らかな質感を再現するためには、この二つを使い分けて、段階的に表面を平らにしていく工程が欠かせません。

麦漆と接着剤の使い分け

金継ぎで破片をくっつける際に使う「麦漆」は、生漆と小麦粉を練り合わせた天然の接着剤です。非常に強力な接着力を持ちますが、硬化までに高い湿度と時間が必要です。市販の瞬間接着剤はすぐに付きますが、熱に弱く、長く使っていると剥がれてしまうため、金継ぎの工程では使いません。

麦漆は、小麦粉のグルテンの力と漆の硬化力が組み合わさることで、陶器と一体化するような強度を発揮します。ただし、漆と小麦粉の配合比率が重要で、小麦粉が多すぎると脆くなり、漆が多すぎると乾きにくくなります。マグカップの取っ手のように力がかかる場所ほど、丁寧に練り上げた良質な麦漆を使うことが重要です。

磨き用の研磨材と道具

金粉を蒔く前の漆の面や、蒔いた後の仕上げには、研磨が欠かせません。作業には耐水ペーパー(800番から2000番程度)を使用しますが、プロは「駿河炭(するがずみ)」などの天然の炭を使って研ぐこともあります。炭で研ぐと、表面がより緻密に、鏡のように滑らかになります。

最後の仕上げには、油と「磨き粉(角粉など)」を使い、指の腹で優しく磨き上げます。この「磨き」の工程があることで、金粉が漆に馴染み、しっとりとした上品な輝きが生まれます。道具一つひとつは地味ですが、美しい金継ぎを実現するためには、これらの研磨用具を適切に使い分ける手間が欠かせません。

工程ごとの手順と避けたい失敗

金継ぎは根気のいる作業ですが、手順を守れば必ず形になります。それぞれの工程でやりがちな失敗を把握しておくことで、大切なマグカップをより美しく仕上げることができます。具体的な手順と注意点を確認していきましょう。

素地の洗浄と下地処理

最初の工程は、器の洗浄と下地作りです。割れた断面に茶渋や油分が残っていると、せっかくの漆が剥がれてしまいます。台所用洗剤で洗った後、アセトンや消毒用アルコールで断面を拭き上げ、完全に脱脂しましょう。

また、接着面積を広げるために、鋭利な断面の角をダイヤモンドヤスリで軽く面取り(面取り)することもあります。これを「足付け」と呼び、漆の密着性を高める重要な下準備です。この段階で「急がば回れ」の精神で丁寧な清掃と下地処理を行うことが、一年後、二年後も使い続けられるマグカップにするための土台となります。

接着の固定と仮止め

断面に麦漆を薄く塗り、破片を合わせたら、マスキングテープでしっかりと固定します。このとき、テープを貼る方向に注意しましょう。割れ目をまたぐように、交互にテンションをかけて貼ることで、隙間なく圧着できます。

よくある失敗は、固定が甘くて乾燥中に重力でズレてしまうことです。取っ手のように複雑な形のものは、砂を入れたバケツに器を埋めて、安定した角度で固定するなどの工夫が必要です。また、はみ出した漆は、固まる前に灯油やテレピン油を含ませた綿棒できれいに拭き取っておくと、後の削り作業が格段に楽になります。

刻苧付けと形の補填

欠けた部分に刻苧(こくそ)を盛る際は、一度に厚く盛りすぎないのが鉄則です。漆は表面から乾いていくため、厚すぎると内部がいつまでも固まらず、後に腐敗や剥離の原因になります。深い欠けの場合は、数回に分けて少しずつ盛り上げ、その都度しっかり乾かすようにしましょう。

成形する際は、少し多めに盛り、乾いた後に彫刻刀やヤスリで削り出して元の形に近づけます。マグカップの取っ手や口元のカーブは、指の感覚だけでなく、厚紙で作った型紙などを当てて左右対称か確認すると、より正確に復元できます。この段階での造形の美しさが、最終的な金の線の美しさを決定づけます。

錆漆塗りと研ぎ工程

刻苧の上に錆漆(さびうるし)を塗り、細かな巣穴を埋めていきます。錆漆が乾いたら、水に濡らした耐水ペーパーで表面を研ぎます。指の腹で触れてみて、陶器の部分と補修した部分の境目が全く分からないほど滑らかになるまで研ぎ上げましょう。

失敗しやすいのは、研ぎすぎて周囲の陶器の釉薬(ゆうやく)まで傷つけてしまうことです。周囲をマスキングテープで保護しながら、慎重に作業を進めてください。この研ぎが不十分だと、最後に金を蒔いたときに表面が凸凹して見え、せっかくの修理跡が「汚れ」のように見えてしまいます。手間はかかりますが、納得がいくまで磨き抜くことが大切です。

金粉蒔きと定着

いよいよ最終段階、金粉蒔きです。研ぎ上げた面に「絵漆(えうるし)」を極薄く塗り、少し乾かして「粘り」が出てきたタイミングで、真綿や筆を使って金粉を優しく蒔いていきます。漆の乾き具合の見極めが難しく、早すぎると金粉が沈んで色が濁り、遅すぎると金粉が付きません。

金粉を蒔いた後は、漆が完全に固まって金粉が定着するまで、再び一週間ほど湿度の高い場所で養生させます。完全に乾いたら、余分な金粉を水で洗い流し、必要に応じて生漆で「粉固め(ふんがため)」を行い、最後に磨き上げます。この瞬間、真っ黒な漆の線がまばゆい金の道へと変わり、マグカップが新しい命を授かります。

金継ぎ後の扱いと手入れ方法

金継ぎで蘇ったマグカップは、これまでと同じように使える一方で、デリケートな一面も持ち合わせています。美しさと安全性を長く保つために、修理後の正しい取り扱い方を知っておきましょう。

食器としての安全性と衛生

天然の漆を使った本金継ぎであれば、完全に硬化した後は食器として高い安全性を誇ります。漆は古くから重箱や椀に使われてきた素材であり、耐水性・耐酸性に優れています。ただし、漆が完全に硬化して化学的に安定するまでには、完成からさらに一ヶ月程度置くのが理想的です。

特に口元の修理をした場合、最初のうちは漆特有の匂いが気になることがありますが、使っていくうちに消えていきます。もし、使っていて金継ぎ部分がベタついたり、変な味がしたりする場合は、漆の硬化不良が疑われます。その際は使用を中止し、再度乾燥させるか専門家に相談してください。正しく直された器は、衛生面でも非常に優れた道具となります。

電子レンジと食洗器の可否

金継ぎしたマグカップにおいて、絶対に避けてほしいのが「電子レンジ」と「食洗機」の使用です。金粉は金属ですので、電子レンジに入れると火花が散り、漆の層を焼いてしまいます。また、電子レンジの急激な加熱は、陶器と漆の膨張率の差から、接着面を剥がしてしまう原因になります。

食洗機も同様に、高温の熱水と強力なアルカリ洗剤、そして高圧の洗浄が、繊細な金継ぎの面を急激に劣化させます。特に、仕上げの金粉は非常に薄い層なので、食洗機を使うとあっという間に剥げてしまいます。手間をかけて直した大切な器ですから、家電に頼らず、優しく手入れをしてあげる心の余裕を持ちたいものです。

日常の洗い方と注意点

日常のお手入れは、柔らかいスポンジと中性洗剤を使った「手洗い」が基本です。研磨剤入りのスポンジや、固いタワシでゴシゴシ擦るのは厳禁です。金継ぎの部分は、指の腹で優しく洗う程度で十分に汚れは落ちます。

洗った後は、水分を柔らかい布でしっかり拭き取り、自然乾燥させてください。水滴がついたまま放置すると、水垢が金の輝きを曇らせる原因になります。また、漂白剤の使用も避けてください。漆の層を傷め、色あせや剥離を引き起こす可能性があります。少しの気遣いで、金継ぎの美しさは十年単位で長持ちします。

金継ぎ箇所の磨きと保護

使っているうちに、金継ぎの部分が少しくすんでくることがあります。これは金が摩耗したり、表面に薄い汚れがついたりするためです。その場合は、セーム革や柔らかい布で優しく乾拭きしてみてください。少し磨くだけで、漆に定着した金本来の輝きが戻ります。

また、長年使って金粉が剥げてしまい、下の漆が見えてきたとしても、それは「景色」として楽しむことができます。どうしても気になる場合は、その部分だけ再び漆を塗り、金を蒔き直すことも可能です。金継ぎは一度きりの修理ではなく、使いながら手入れをし、育てるものだと考えると、より愛着が湧いてくるはずです。

破損時の再修理の判断

もし、金継ぎした箇所が再び割れてしまったり、取っ手が取れてしまったりした場合はどうすべきでしょうか。天然漆を使った金継ぎであれば、古い漆を削り落として、再度同じ工程で修理することが可能です。これは、化学接着剤にはない大きなメリットです。

再修理をするかどうかの判断は、断面の状態を見て行います。断面がきれいに分かれている場合は再接着が可能ですが、陶器そのものが粉々に砕けてしまった場合は、修理が難しくなります。また、同じ場所が何度も壊れる場合は、構造的な補強(布着せなど)が不足している可能性があります。自分の手に負えないと感じたら、無理をせずプロに相談し、最適な修復方法を検討しましょう。

おすすめ紹介:初心者向け金継ぎキット比較

マグカップの修理に挑戦する際におすすめの、定評のあるキットをまとめました。

製品名特徴公式サイトリンク
つぐキット (TSUGUKIT)初心者に最も人気。動画解説が充実しており、材料もすべて天然素材で安心。https://kintsugikurashi.com/
播与漆行 金継セット創業200年以上の老舗漆店が提供。プロ仕様の漆が含まれ、本格志向の人向け。https://www.hariyo.co.jp/
めじろ 金継ぎキットスタイリッシュな道具箱が魅力。必要な道具がコンパクトにまとまっており、ギフトにも最適。https://mejiro-japan.com/

金継ぎしたマグカップと長く付き合うために

金継ぎをして蘇ったマグカップは、単なる修理品ではありません。壊れたという事実を受け入れ、それを新しい美しさへと昇華させた、物語の詰まった芸術品です。金継ぎの跡は、あなたがその器をどれだけ大切に思ってきたかの証でもあります。

お気に入りの飲み物を注ぎ、新しく刻まれた金の線を眺めながら過ごす時間は、これまで以上に豊かなものになるでしょう。電子レンジが使えないといった少しの不便さも、道具と丁寧に向き合うための合図だと思えば、愛おしく感じられるはずです。直して使うという日本の素晴らしい知恵を、ぜひあなたの暮らしの定番に取り入れてみてください。

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この記事を書いた人

日本の伝統文化について、由来や意味を知ることが大好きです。 伝統工芸、風習、慣習の背景を知るたびに、日常の見え方が少し変わる気がしています。生活の中で楽しめる知恵が見つかるといいなと思います。
忙しい毎日の中で、ほっと一息つけるような情報を届けられたらうれしいです。

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